Monthly Archiv: 7月, 2016
物件が割安である理由がわかり、その対策も何とかなりそうなので、現所有者の情報や、土地の境界、外観や空室を細かく見ることにした。
すると、現所有者が不動産会社ということで、土地家屋調査士が入って、境界もしっかり確定していた。更に、所有者が不動産会社なので瑕疵担保も2年付くことがわかった。
外観は1Fが油を使う工場ということで、汚れが目立ち、壁にはひび割れがありペンキの粉が吹いている状態だった。裏庭には雑草がたくさん生え、油の匂いもした。この物件を購入したら直ぐに外壁塗装が必要な状態だ。
次に空き部屋に入ると、意外にも、リフォームされており、綺麗な状態だった。これなら、安い賃料にすれば、直ぐに入居が決まると思ったが、風呂がなかった。事務所として貸し出すしかないが、畳の部屋なので難しい物件だ。
物件価格+リスク=5,415万円という数字を出した後、私は、営業マンに尋ねた。
「そもそも、この物件、貴方が購入しようと思ったんですよね? 購入した後、しばらく維持しようと思ったのですか? それとも、更地にして売却しようと思ったのですか?」
すると
「更地にして売却しようと思いました。知り合いの建売業者からは、43坪の更地で、接道14メートルであれば新築2棟が立てられるので、6,000万円で購入すると即答していました。しかし、繰り返しですが、更地にするには、色々問題があります。」
「へえ、業者が6,000万円出すということは坪140万円の評価はあるんですね。」
「というよりも、新築で販売した時には、坪160万~180万になるでしょう。」
物件を購入しようとしていた営業マンは色々な情報を持っていた。
よって、物件価格+リスク=5,415万円を支払たっとしても、更地にすれば業者が6,000万円で買ってくれることがわかり、更に前向きに検討したくなった。
不動産会社の営業マンから聞いたリスクをザックリ数字にすると
・解体費用 600万円
・土の入替 300万円
・工場移転費用 270万円(家賃の1年分)
最大リスク合計1,180万円となってしまう。
そこで、私なりにリスクを見直した。
解体費用は値引き交渉して500万円と想定。そして、大田区には油を扱っていた工場の跡地に住宅が建つのは珍しくないし、コストも驚くようなものではないので100万円と想定。そして、工場移転費用については、建物老朽化を理由に家賃の半年分で135万円と想定した。
現実リスク 500+100+135=735万円となった。
よって、最終的な金額は、
物件価格+リスク = 4,680万+735万 = 5,415万円と考えた。
不動産会社の営業マンが言う通り、周辺の土地が坪160万円程度なのに、この物件は約100万円というのは安すぎる。何がリスクなのかを質問すると・・・
「1Fの工場が大田区に届け出をしないまま何十年も営業しているので、どんな工場なのか詳しいことが分からないということです。ただ、何十年も営業していることを考えると問題あるものを製造しているとは考えにくいですが。。。
それと、この建物は昭和48年に建っているので、数年後には解体が必要となります。そのときの解体費用が工場ということもあり、ざっくり600万円くらいかかると思います。さらに、油を使っている工場なので、もしかすると、土壌汚染の問題で土の入替をするとなるともっと費用がかかります。
そして、オーナー都合で解体、建て直しとなると、現工場長に対して他の工場を探して移ってもらうなど多額の移転費用が発生します。
なので、物件自体は割安ですが、数年後に発生するコストを考えて判断する物件だと思います。」
私は、営業マンの話を聞いて、この物件は、プロが扱う物件だと感じた。事実、現在の所有者も転売を得意とする不動産会社ということもわかった。
だからと言って、私は、諦めようとは思わなかった。
希望した日時に営業マンと現地で会い、詳細の説明を受けた。
営業マンの話によると、自身でも収益不動産を複数所有しているそうで、今回の物件も自身で購入しようとしたが、融資が付かなかったので一般に売りに出したという面白いいきさつがあった。
私は、なぜ、この物件を購入しようとしたのか尋ねると、
「この物件価格は実勢価格よりかなり安いです。周辺の土地が坪160万円程度に対して、この物件の土地は約100万円です。建物が古いので、数年後、建て替えを理由に1Fの工場、2Fの住人に移転してもらい、更地にして売却できれば、化ける物件だと思って購入しようとしました」
私自身もこの物件の近くに住んでいるので、営業マンの言う通りだと感じた。
しかし・・・